耳は次の3つの部分に分かれています。これらの部分に問題があれば、痛みが生じたり、聞こえが悪くなったり、めまいが起こることがあります。
① 外耳(がいじ):入り口から鼓膜までの部分。音を集める働きがあります。
② 中耳(ちゅうじ):鼓膜から奥の空洞になっている部分。外耳から入ってきた音を内耳に伝えます。
③ 内耳(ないじ):中耳よりさらに奥の部分。音を感じ取る器官、平衡感覚を制御する器官があります。
耳の構造と音の伝わる経路は図に示したとおりで、①の耳介で音を集めた後は番号順に外耳・中耳・内耳を経由し、⑥の蝸牛神経を介して大脳に伝えられます。これらの経路のうち、どの部位が障害されても音は正しく伝わらず、外からの音声情報が「聞こえない」または「聞こえにくい」という現象が起きます。
ヘッドフォンでロックなどの音楽を大音量で長時間聴き続けたり、ロックコンサートで強大音を聴き続けた場合などに起こります。日常の会話レベルの音量(聴きやすい音量)が40~60デシベルであるのに対し、ロックコンサートなどでは100~120デシベルの大音量に曝されます。その際内耳の蝸牛にある有毛細胞がダメージを受け、一過性の聴力低下(聴覚疲労)が起こります。普通は徐々に改善しますが、強大音への曝露時間が長くなると障害が高度となり難聴を引き起こします。
125~135デシベル以上の予期せぬ突発的な強大音曝露によって起こる難聴です。運動会でスターターのピストル音を耳元で聴いてしまった時、爆竹や花火が耳元で暴発した時などに起こる可能性がありますが、「予期できない」強大音が原因であるため予防は困難です。「急性音響性聴器障害」はヘッドフォンやロックコンサートなど強大音であることを承知の上で曝露し、結果的に難聴になるという点で大きく異なるわけです。
急性音響外傷は内耳の有毛細胞も高度に障害される危険があるため、耳鳴り・難聴・耳が詰まった感じ・めまいなどの症状が続くようならば、早急に耳鼻咽喉科を受診して治療を受けてください。